短期留学特別プログラムYSEP
1.YSEPの目的とシステム
本学の短期留学特別プログラムは、YSEP/Young Scientist Exchange Programと呼ばれ、世界中の協定校から主に学部4年生を集め、卒論研究に力点を置いたユニークなプログラムである。
YSEPの目的は、教育・研究の場の提供にとどまらず、YSEP留学生が日本での生活体験を通じて、相互理解と友好親善を増進し、人種・言語・文化・習慣などを超えた連帯を一人でも多くの人と深めること、また本学にとってはキャンパスの国際化を一層推進することである。2000年10月にスタートしたYSEPのシステムは、本国の大学に籍を置いたまま留学生を日本に迎え入れるため、英語によるカリキュラムを編成し、奨学金を日本国際教育協会(AIEJ)から支給し、一年間の勉学の機会を提供し、単位を認定して協定校へ成績を連絡することである。
2.世界中から集まるYSEP留学生
発足時に立てたYSEPの3ヶ年計画では、年度毎にその目標を「開発」「定着」「展開」と定め、初年度以降多くの協定校へ説明し、また新しい学生交流協定締結校を拡大した。(新規締結:ハノイ工科大学、ヨハネス・グーテンベルグ大学、スウェーデン王立工科大学、チュラロンコン大学、シュトットガルト大学、国立芸術工科大学(ENSAM)、ストラスブール大学、レンヌ大学、協定更新:KAIST、ミュンヘン工科大学、西安交通大学、タマサート大学、漢陽大学、ハルピン工業大学、カセサート大学)
その結果、表1.に示すとおり、
表1 YSEP留学生の分布状況
| YSEP | 期間 | 採用人数/応募人数 | 出身国 | 学科別 |
| アジア | 欧州 | 北米 | 他 | 電気/情報 | 生命/化学 | 機械 | 建築/土木 | 社会理工 |
| 第1回 | 2000.10-2001.9 | 20/20 | 18 | 0 | 0 | 2 | 7 | 8 | 2 | 2 | 1 |
| 第2回
| 2001.10-2002.8 | 20/39 | 8 | 9 | 2 | 1 | 13 | 4 | 0 | 2 | 1 |
| 第3回 | 2002.9-2003.8 | 25/44 | 7 | 10 | 6 | 2 | 16 | 4 | 2 | 2 | 1 |
| 第4回 | 2003.9-2004.8 | 21/32 | 9 | 8 | 2 | 2 | 8 | 5 | 1 | 5 | 2 |
| 合計
|
| 86/135 | 42 | 27 | 10 | 7 | 44 | 21 | 5 | 11 | 5 |
YSEP留学生は世界各地域から合計86名(アジア42名、欧州27名、北米10名、豪州3名、中近東2名)に上る(競争率は2倍弱)。またAIEJの奨学金が得られなくても参加する学生も増加しており、第2回は1名、第3回は6名が私費参加である。奨学金の漸減傾向の中で、私費留学生の増加は、YSEPの持続性の観点から望ましい傾向といえる。学科は電気・情報系に応募が偏る傾向があるが、総合理工系大学の強みを出すよう、他の学科とのバランスにも配慮している。
3.YSEP2000留学生
YSEP2000留学生は、メーリングリストにより、現在も情報交換を行っている。彼らの多くは、YSEP修了後、母国の大学院に進学し、2名は本学国際大学院コースに進学した。また計算工学小川英光教授、杉山将助手の指導を受けたLee Chang-su君(韓国、KAIST)が本学で書いた卒論が、韓国の著名な賞「8th Human tech Thesis Prize Award」((株)Samsung Electronics主催)の銀賞に輝いたことは、名誉なニュースであった。
4.YSEP2001留学生
2001年10月に来日したYSEP2001留学生は20名。初年度に比べ、欧米からの参加者が増加し、特に北欧圏が7名と多数を占めた。AIEJ奨学金受給者19名に対し私費学生1名。2年目に入り、受入手続き、プログラム共軌道に乗り、新しい試みとしてYSEP留学生による「私の国、町、大学」発表会の開催やYSEP指導教官による専門科目「電気・情報・制御・システム領域における最近のトピックス」の開講が行われた。YSEP2001の主な日程は下記の通り。
2001年7月19日 平成13年度第1回短期留学特別プログラム実施委員会
8月9日 YSEP渡日前オリエンテーション・パッケージの送付
8月28日 YSEP指導教官連絡会
9月21日 YSEPチューター説明会
10月1日 YSEP留学生来日
10月3日 YSEPオリエンテーション、開講式
10月1日 秋学期授業開始
11月10日〜11日 ヒッポファミリークラブによる東京近郊でのホームステイ
11月14日、21日 YSEP2001留学生による「私の国、町、大学」発表会
11月21日〜12月19日 アンケート及び個別面談の実施
2002年1月16日 大田区立池雪小学校で小学生と交流、国際理解授業に協力
3月25日 第2回短期留学特別プログラム実施委員会
4月7日 ヒッポファミリークラブとのお花見会
4月15日〜春学期授業開始、YSEP専門科目「電気・情報・制御・システム領域における最近のトピックス」開始
4月20日〜21日 宇都宮への旅行(宇都宮国際交流会UKUによるホームステイ受入)
7月3日、10日 YSEP2001留学生による体験総括発表会
8月2日 卒論要約発表会及び修了式(予定)
5.YSEP2002留学生
2002年9月に受け入れたYSEP2002では25名と過去最大の人数を受入れ、欧州10名、アジア7名、北米6名、豪州1名、中近東1名と地域的にもバランスが取れていた。AIEJ奨学金受給者19名に対し私費学生6名と私費学生の比率が更に高くなった。YSEP2002の主な日程は下記の通り。なお2002年度より短期留学特別プログラム実施委員会は廃止され、新たに設置された国際室選考専門委員会が所管することとなった。
2002年6月13日 YSEP渡日前オリエンテーション・パッケージの送付
7月24日 YSEP指導教官連絡会
7月29日 YSEPチューター説明会
9月4日 YSEP留学生来日
9月9日 YSEPオリエンテーション開講式
9月10日〜27日 集中日本語研修
10月1日 秋学期授業開始
11月9日〜10日 ヒッポファミリークラブによる東京近郊でのホームステイ
11月13日、20日 YSEP2001留学生による「私の国、町、大学」発表会
11月 アンケートの実施
2002年1月22日 大田区立池雪小学校で小学生と交流、国際理解授業に協力
3月20日 国際室選考専門委員会:春学期授業科目及びYSEP2003受入の承認
6.今後の方向性
YSEPでは国際交流を促進するために、日本語授業、日本の文化や社会を理解する講義、先端企業を訪問する見学会、日本人の家庭で生活するホームステイなど、学内外で相互理解を助けるプログラムが織り込まれている。こうして帰国したYSEP留学生が新たに優秀なYSEP留学生を呼び寄せ、東工大生を含めた交流の輪が広がることを期待している。従って、YSEPが数年後に目指す方向は以下の通りと考えている:
1)YSEP留学生がより満足する国際交流プログラムへの深化
2)世界中からより優秀な留学生の募集
3)東工大に相応しい学生交流のための協定校の選別および拡大
4)受入に相応した人数の東工大生を海外協定校に派遣し、学生交流の活性化
5)世界レベルにおける大学間の相互補完的な教育システム(単位互換など)の構築
(佐藤由利子)